通勤上の負傷・疾病のときの給付について

  労働者災害補償保険から  ○治療費等は、無料(療養の給付)

               ○休業給付等が支給(初めの3日間は不支給) 

労働者が、通勤により負傷や疾病にかかり、労災病院等の指定医療機関で治療を受け又は入院した時は、労働者災害補償保険から療養給付
(現物給付の療養の給付)が受けられ、治療費等が無料となります。また、やむ得ない理由で、指定医療機関以外で治療を受けた時は、
本人が治療費を立て替え、後から費用を請求することにより、療養の費用(現金給付)が受けられます。
 また、治療や入院等で労働することができず賃金が不支給のときは、休業4日目から生活費を補うことを目的として休業給付と
休業特別支給金が支給されます。尚、休業
3日間については、事業主の休業の補償はありません。
・支給額は、休業給付として給付基礎日額の100分の60の額、休業特別支給金として休業給付基礎日額の100分の20の額、両方合わせておおよそ平均賃金の8割程度の額となります。
・支給期間は、要件を満たしている限り支給されます。

(1)療養の給付/療養の費用の受給手続き

   療養の給付等の受給手続きは、「療養給付たる療養の給付請求書」を、療養を受けようとする指定病院を経由して、所轄労働基準監督署長に提出します。

   療養の費用の時は、「療養給付たる療養の費用請求書」を、直接、所轄労働基準監督署長に提出します。

 

(2)休業給付/休業特別支給金の受給手続き

   休業給付及び休業特別支給金の受給手続きは、「休業給付支給請求書・休業特別支給金支給申請書」を、所轄労働基準監督署長に提出します。

(3)通勤とは

 通勤とは、労働者が、就業に関し、次の①~③に掲げる移動を、「合理的な経路及び方法(徒歩、バス、電車等の一般に利用する交通手段をいう)」
により行うことをいい、業務の性質を有するものは除かれる。
    住居と就業の場所との間の往復
    厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動
(例えば、複数就業者の事業場間の移動)
    上記①に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動
(例えば、単身赴任者の赴任先住居と帰省先住居間の移動)
尚、出張(直行・直帰)や会社からの緊急呼び出しに伴う住居から目的地への移動は、通勤ではなく、業務として扱われ、業務災害の対象となります。

 

(4)通勤による疾病とは

   通勤による疾病とは、労働者災害補償保険施行規則(18条の4において、「通勤による負傷に起因する疾病その他通勤に起因することが明らかな疾病」
とされています。つまり、業務災害とことなり、具体的な疾病が列挙されておらず、通勤と疾病との因果関係の相当性によってその都度判断されます。

(5)療養の給付の範囲について

   療養の給付の範囲は、次の①から⑥で「政府が必要と認めるもの」に限られます。

    診察
    薬剤又は治療材料の支給
    処置、手術その他の治療
    居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
    病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
    移送(災害現場から医療機関、転医に伴うもの、通院等)
 

                                                                      以上